ぼくは、もっと賢くなれれば、もっとしあわせになれると、そう思っていたんだ――――
こんにちは、クロンです!
心に残った本を紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日紹介する書籍は、「アルジャーノンに花束を 著者:ダニエル・キイス」
【本の紹介】
この本を一言で表現するなら、「盛衰」です。
脳に障がいをもち、幼児のような思考力しかない青年チャーリーがある日、世にも画期的な手術をうけ、少しずつ知能を高めていく話です。
青年の知性は留まることを知らず、どこまでも成長し続け、たった半年間という短い時間で周囲の環境まで大きく変えてしまいます。
周りの人たちは彼が変わってしまったことに驚き、受け入れられず離れていく人も現れ始めます。
知力が上がるということは、良くも悪くも、その個人の性格さえ変えてしまうもの。
変わってしまったものは、もう戻ることはありません。その変化のスピードを、自分でコントロールもできません。
まるですごい速さで色々な人の人生を追い越してしまったような、ある意味、浦島太郎の逆のようなこと(周りの人を置き去りにして、自分だけが先に進んでしまう)が起こってきます。
その中で、自分と周りの人との幸せを願っていた主人公は、はたして最後に幸せになれるのか?
類似の物語を読んだことがなかったので、先の読めない展開にとてもワクワクして読み進めてしまいました。
さすが現代まで語り継がれる巨匠作品です。
全体を通して個人の日記(経過報告)の集まりとして表現されるこの一冊はSF作品でありながら、繊細な感情の機微や細かい周囲の描写により、どこか本当に現実に起こっているかのような印象を受けます。
ほとんど日記形式なので、使っている文章が徐々に難しくなっていったり、主人公の視点や周囲の人間環境などが変化していく過程が鮮明に描かれています(主人公の気分により、とても短い日記になるときもあります)。
そして、タイトルにある「アルジャーノン(主人公と同じ手術を受けたネズミ)」との出逢い、その両者の関係性について、読了後に考察してみるのも面白いと思います!
【この本との出会い】
恥ずかしながら、最初にこの本を手に取った理由は「どこかで題名を聞いたことがあり、評価が良かったから」でした。
丁度ブックオフに立ち寄った際、100円でハードカバーが置いており、思わず手にとってしまいました。
そして購入からはや数年が経過し、あらすじも知らずに読み始めたのです(笑)。
いつも本棚にあることは覚えていたのですが、自己啓発本などを優先してしまい、なかなか手が出ない状態が続いてしまっていました。
しかし、そのかいもあってか(?)、なにも情報がない状態で通勤途中で読み始めたので、全てが新鮮な気持ちで読むことができました。
世界観の設定や一昔前の作品であるがゆえの独特な世界観が新しい風となり、先の見えないワクワク感へと駆り立ててくれました。
きっとこの本以外で、こんな不思議な気持ちになることはないでしょう
【まとめ】
おすすめ度:☆★★★★
おすすめする人:高校生以上の人、家族の大切さを再確認したい人
主人公のチャーリーが30歳ということもあり、若干ですが大人な人間関係の表現もあるので、対象年齢は高校生以上とさせていただきました。
しかし上記の通り、オリジナリティにあふれた作品であり、独特な世界観は読者に未知の感情を沸き立たせてくれます。
多くを語ると作品の面白みが少なくなってしまうかもしれませんので、気になった方は、どうぞ手に取ってみていただければ幸いです。
よろしければ一緒に、不朽の名作を楽しみましょう!