自作小説

【第1部第1章32節】Crisis Chronicles

 骸骨公を囲むようにして直立していた10体の人骨兵に向かい、二人は駆け出した。

 散々踏み慣らされた地面の表面が蹴散らされ、後方へと巻き上げられてゆく。

 それを真正面から叩き伏せようと、骸骨達も瞬時に加速した。

 ユリアとクレイズは二手に別れ、骸骨公の左右から集団を挟撃する。

 ここまで来て戦力を分散させるとは、勝利を捨てたか―――――と骸骨公は眼前の人間の死相を読み取る。

 ならば直ぐに逝かせてやろう、と下僕を目眩ましに使い捨て、自らが止めを刺そうと左右の「魔力を被った霊体の塊」に攻撃を仕掛けた。

 「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!」

 生者に群がる死者は狂気に支配されている。これまで消費した幾多の同胞は決して無駄ではない。

 体内の生命力、気力、体力、活力、魔力、霊体―――――幾重もの力を擦り潰しながら闘う人間という生物には必ず限界が来る。

 故に、それらが限界を迎えた今この時が決着だと、この場にいる全ての骸が本能で感知していた。

 「銃器換装――――――散弾銃(アームズシフト――――――――ショットシェル)」

 ユリアは手筈通り、金属運用魔法により右手の魔導式拳銃の構造を銃身の長い散弾銃へと変形させる。

 この魔器は銃口から魔弾を分解した極小粒子を撃ち出す。故に対象に魔力的効果は期待できるものの、銃弾で「穿つ」という行程を完全に無視した戦闘スタイルだ。

 攻撃範囲を広げたことにより命中率は上昇するものの、相手が骨で組まれた硬質な化け物となるとその相性は最底辺。

 硬質な外骨格を破壊することなど到底不可能。弾片は無為に弾かれ傷を与えることさえ叶わない。となれば散弾に望むものは魔法効果のみだが、生憎と敵は霊体膜、霊体壁を体表面に展開している。

 これでどう我らの闘争を阻むというのか。人骨兵は歓喜の雄叫びと共に眼前の銀髪長髪の少女へと刃物を片手に猛進した。

 戦闘意欲を失った一人の少女の細い首を掻き切ることなど容易いと、全身に宿る霊体が告げる。

 狂化された精神は最早思考力など皆無。ただ砂を蹴り、目の前の獲物へと迫った―――――――

 「魔弾装填――――――凍結弾(フリーズ・バレッド―――――――リロード)」

 体力が摩耗してるユリアだが、その強靭な集中力は尽きていなかった。

 彼女に残されたプロトバレットの残弾数は――――――残り8発。

 これから先、ただの一発も無駄にしてはならない――――残弾数の低下は彼女に、より鋭敏な集中力を齎(もたら)していた。

 慎重に、確実に、冷静に、無慈悲に……ユリアは眼前に迫る生者の残滓を標的に「停止」を喰らわせた。

 銃口から放たれた微細幾多の魔弾は、至近距離から人骨兵(コープス)の全身を打擲(ちょうちゃく)した。

 ―――――――――結果。

 魔力で精製された氷に包まれた氷像が一瞬で形成される。

 全身の関節を凍結させられ、体部を動かすことなど到底不可能。人骨兵はただ、その体勢で自らの運命を呪った。

 「グオオオオオオォォォォォォォ!」

 骸骨公の悲鳴が暗森に谺し、一本の鋭い鎖がユリアへと瞬時に伸びた。一度その鋭利な先端部に貫かれれば引き抜くことは困難を極める。加えてあれほどの太い鉄に穴を穿たれては一撃で体内器官はズタズタに裂かれるだろう。

 驚異的な移動性を孕む対人兵器。加えてその数は8本。それは少女の柔肌にとって直撃すれば必殺の凶器と何ら変わりがなかった。

 大切な仲間達を殺めたその殺傷力を改めて脳内で反芻し、ユリアは即座に第一工程魔法で脚部を強化し、だが回避行動を起こさず――――――――ただ、氷像を前方へと蹴り飛ばした。

 氷像は地面を滑り、行く先の骸骨公へと擦過音を撒き散らしながら突き進んだ。

 『――――――お願い……―――――って……』

 少女は全霊を込めて祈る。既にあの怪物を倒し得る万策は尽きかけている。この作戦が破綻してしまったら、本当に肉弾戦に持ち込むしか無くなってしまうから。

 故にユリアは心中で祈る。この先に起こる事象が自分達の生死を決定付ける重要な因子と成り得るから――――――

 氷像は銀髪の少女を突き刺そうとした鋭利な黒色の鎖へと向かい――――――その鋭く尖った先端に深々と貫通させられた。

 「―――――――――やった……の…………?」

 骸骨公は自身が仲間を貫いたことに気付く気配はない。ユリアは正直、目の前で証明された仮定を信じ切ることが出来ないでいた。

 ――――――――――――これで……勝てる、の…………?

 それは事前に念話で打ち合わせをされていた事だった。

 ――――――――なら、霊体の塊である人骨兵に魔力を被せれば?

 ――――――――良い考えね。凍結弾なら、或いは。あの霊体膜に弾かれても相応の効果は出せると思うわ。

 氷塊を形成した魔力は微量ながらも未だ礫の中に残存し続け、対象の原子運動を低下させ続けている。魔力が燻っていられるのはほんの数十秒の間だけだが、今の彼女達にはそれで十分だった。

 完全に氷体から魔力が消失すれば、骸骨公も自らが突き刺した標的が紛い物で在ると立処(たちどころ)に識るだろう。その前に、出来るだけ多く――――――

 『これで……勝てるわ…………必ず』

 ユリアは敵集団の周囲を弧を描くように駆けた。襲撃してきた3体の人骨兵を即座に凍結させ、骸骨公へと吹き飛ばす。

 骸骨公の手前8メートル地点で鎖に刺突され、静止する3つの氷像。現在は骸骨公からユリア方向180度の中にその数を4つまで増やしていた。

 迫り来る破壊目標数の変化に、狂化された骸骨公の思考は対応できず、疑問を脳内で錯綜させ、行動は全て後手に回る。加えて、飛来する標的の警戒に集中し、不要となった鎖の霊体化も選択肢として挙がらない。

 残弾は4発―――――――後は骸骨公のクレイズ側180度に4つの氷像を配置すれば完成だ。

 ――――――――10体全ては倒さなくていい……鎖を封じて霊体壁を縮めさえすれば……

 鎖を避けられる間合いを取り、ユリアはクレイズへと駆けた。

 クレイズは人骨兵に槍を突き出され、これを頭を振り回避し、槍の持ち手を右手で掴み、左手で振動剣を一閃し、硬骨の両腕を中半から切断した。

 それを駆け付ける銀髪の少女へと蹴り飛ばし、ユリアはそれを凍結させ、骸骨公へと蹴り飛ばし、氷像は即座に鎖によって深々と貫かれる。

 骸骨公は目まぐるしく動く魔力を帯びた霊体に動揺する。

 ――――――――二人の間を塞ぐ敵は残り3体。ソレらは最早隊列を気にする余裕は無く、疎(まば)らに凶器を振り翳(かざ)すのみ。

 クレイズは脚に力を込め、加速し、正面から接敵した。

 手前の敵の直剣を中半から切断し、次に接触した敵の頭部を斜めに切断し、3体目を追い抜き様に右脚を軸にし、反転しながら背中から両断する―――――――

 ―――――――ガキンッ

 「―――――――ッ!?」

 しかし三体目の人骨兵を両断することは叶わず、この一撃を以って限界を迎えた振動剣は砕け散った。

 次いで態勢を崩したクレイズに人骨兵は瞬時に右手を突き出し、その細い首を掴み、少女を軽々と持ち上げる。

 「―――――――――カハッ……」

 気管が締め付けられ、自重によって首がギシリと鈍い音を立てる。全身を引き裂かれそうな感覚に耐えながら、クレイズは苦悶の表情を浮かべた。

 人骨兵がそのまま腕に力を込め、即座に首を手折ろうと―――――

 ――――――――ガリッ

 クレイズは手中に残っていた中半砕け散った振動剣をその関節に突き立て、人骨兵の右手を力任せに分断した。

 だが、最早神経の通っていない骨のみの右腕。そんなものを絶たれたところで既死の亡者が動きを鈍らせることは決して無い。

 即座に目標へと迫り、人骨兵は左手を肘から引き、眼前の生者の腹部を貫こうと―――――

 「―――――――クレイズッ!左へ跳んでッ!」

 鼓膜に届いた命令を、ただ何の考えもなく実行する。刺突を構え終えた鋭敏な一撃を回避出来る間合いは最早無いが、そう思考する前に、少女の身体は動いていた。

 次いで鳴り響く造氷の快音。全身を冷涼な風が吹き抜ける。敵へ視点を移動させるとそこには……眼球の間近に突き付けられた骨の左手の鋭い指先が在った。

 一瞬肝を冷やしたが、それが凍結しているものだと理解し、ようやく右手に握ったままの刀剣の残滓を地面へと放った。

 砕け散った振動剣だが、よく此処まで耐えたものだ。これまで、幾度と無くその身を擦り減らしながらクレイズの剣となり多くの敵を屠ってきた。

 霊体に憑かれ魔力効果を纏えずとも、刃が欠けようとも、最期まで主の命を守り続けた一本の剣。

 最早その役目は十二分に果たされた。――――――――ありがとう。ここまで来れたのは、あなたのおかげね。―――――後は私に任せて、ゆっくりと休んでいて……。

 霊体霧へと気化する前に、ユリアは凍結弾で二体の骸を骨格として氷像を造り上げ、クレイズが骸骨公へと蹴り飛ばした。

 これで円環魔法陣のように配置された氷像は7つ―――――――――後に残すは1つのみだ。

 ――――――――その時、ユリアの背後の地面が飛沫を上げ何かが突き上げてきた。

 それは戦斧を振り上げた人骨兵だった。

 自身の戦力が複数であるという長所に漬け込むように、10体の内1体が伏兵として地面に隠れていた事に気付けなかった。

 「―――――――――ユリアッ!後ろッ!」

 クレイズが目を見開き、仲間へと注意を呼び掛ける。

 極度の集中状態。ユリアの耳にはクレイズの声は聞こえなかった。ただ彼女は、眼前の骸骨公を見据えていた。

 人骨兵の凶器が月明りに輝らされ、ユリアの背部へと振り下ろされる―――――

 ―――――――甲高い金属音が鳴り響いた―――――――全ては、一瞬で完結した。

 結果として、最後の一手を見誤ったのは人骨兵の方だった。

 ユリアは正面を向いたまま後方の人骨兵(コープス)を正確に撃ち抜いていた。

 ようやく一箇所に固まった敵を刺し貫く為に、骸骨公は残り1本となった鎖を限界まで延長し、一撃を放った。

 ユリアは後方に急造された氷像の裏へと周り、迫る黒鎖へと素早く滑走させた。

 近付いて来た目標を突き刺す骸骨公―――――――これで突き通された氷像の総計は8つ。狂化された骸骨公の思考には最早敵の数など関係無い―――――ただ存在すれば刺し貫くのみ。   

 この時点で、骸骨公の鎖は全て八方向へ。骸骨公からある程度の距離を保って停止したことになる。

 比較的長めの距離、基本6本のところを8本。奴の霊体障壁が軽薄になっていることは確実。

 今この瞬間を逃せば、これ以上の勝機は最早訪れることは無いだろう。

 『『――――――――――今しかないッ!』』

 ユリアは約20メートルを隔てた骸骨公へと、Deringer-Mark6を全力で投擲した。

 その強大な爆発力を内に秘めた小型の百面体爆弾が骸骨公の顔面へと回転しながらゆっくりと舞った。

 カシャリと、骸骨公へ向かい百面の内、三面のシャッターが開き、内部の魔法陣が大気中の魔力素を限界を超えて吸引し、内部で高速回転させ、破裂しようと開放口に光が灯る―――――

 ――――――――しかし、

 対衝撃態勢を採ろうとしていた二人が見たものは―――――霊体が開口した三面に凝縮し、壁となり、それは瞬く間にその面積を増やし、爆発直前には爆弾の表面全体を厚く包み込んだ光景だった。

 『――――――――なッ!?』

 これではあの爆弾は指向性を失い、その威力は周囲360度に拡散され、骸骨公への手傷は殆ど与えられないだろう。

 ――――――――――クレイズが助けに来る直前のエレメントグレネーダも、これで防いだのね…………

 クレイズとエミリアは自分達が爆発に巻き込まれないように、地面に伏せるだけで精一杯だった。

 直後、想定通りの爆発が起きた。周囲に拡散された威力だとしても、その衝撃は相当なものだった。

 爆風は砂を巻き上げ、爆音が鼓膜を激しく叩いた。熱風が肌を焼き、高速の砂粒が皮膚を擦り破る。

 砂煙で周囲は視えない、音が聞こえることはない。服は所々が焼け焦げた。加えて骸骨公は未だ尚存命しているだろう。

 ―――――――――――それでも、クレイズはその瞬間に疾走り出していた。

 彼女の視界には、何も映らない

 彼女の聴覚には、何も訴え掛けては来ない

 彼女の全身には、今までの戦闘で擦り傷が幾つも付き、流血がその表面を覆っていた

 精も根も尽き果て、あと自分には何が残されているのか理解らないほど疲労はピークに達していた

 ―――――――――――それでも、私はやらなければならない。

 十数メートル先にいるであろう骸骨公はもう死に体の域を通り越しているだろう。

 此処で好機を見失えば、より多くの人が苦しみ、殺されるだろう。

 此処まで奴を削り切るのに、幾人がその魂を散らしていったのかは定かではない。

 しかし少なくとも、ユリアを死地から救い上げる為に『GunSlinger-ガンスリンガー-』のメンバーは死力を尽くし、命を落とした。

 ―――――――――――今此処が、私の踏ん張り時だ。

 この時の為に、右手の奇跡は残されていたのだから。

 あと少しで、あと数歩で、死に塗れた不文律とも決着が付く。

 クレイズは一歩一歩、地面を踏み込み前進した。張り裂けそうな感覚に全身を貫かれ、それでも大切な人たちへの想いが彼女の背中を優しく押した。

 もう頑張らなくてもいいと、そう自分に言い聞かせてくれた金髪の少女の涙を思い浮かべる。

 自分を最後まで信じてくれた、溢れんばかりの涙を堪えていた愛しい妹を思い浮かべる。

 「エリス―――――絶対に、生き残ってみせるから――――――――――――」

 「エミリア――――待ってて……絶対に、助けてみせるから――――――――」

 たくさんの人の想いをその身に背負い、クレイズは魔法の言葉を紡いだ。

 「この天界に住まう七つの星よ 今一度我に光を示せ」 

 予想通り、クレイズの目の前の砂煙が揺らめき、その存在を現す。

 外套は完全に破け去り、骨の全身は完全に剥き出しの状態だ。

 残存する周囲の霊体を凝縮させ、自身の手前に霊体で壁を生成して爆発から身を守ったのだろう。

 骸骨公の胸骨の裏からは、拳大の朱い宝石のような物が覗いていたが、クレイズには何ら関係の無い事だ。

 「星の海をこの手に掴み 力と成して目前の敵を討滅ぼせ」

 骸骨公にはもう、この一撃を防ぐ手立ては無い筈だ。

 霊体障壁を完全に再生させていない今ならば、確実に仕留められる。

 これほどにまで低密度の霊体ならば、魔法陣が破壊される可能性は皆無。

 クレイズは右手を正面の骸骨公へと掲げ、三次元魔法陣を描き、最期の呪文を紡いだ。

 「――――――――――――七星剣(グランシャリオ)」

 同時に手中から凄まじい閃光と衝撃が光芒と成り吐き出される。

 それはクレイズの周囲の闇を全て消し去った。彼女の周囲をただ、高密度の光が埋め尽くし祝福する。

 この魔法は純粋な無色の「魔力」だ。立ちはだかる者は、須らくその形骸を崩され、存在を消滅させられる。

 骸骨公の霊体障壁も最初の数秒間は拮抗していたようだが、直ぐに七星剣の威力には耐えかねた。

 それは地形ごと目標物を削り取り消滅させ、周囲一帯を呑み込み清白な光で覆い尽くした。

 これほどの威力を伴った魔法はこの世界には殆ど存在しない。

 これを喰らい生存していたなら、この世界における破壊兵器ならば一切通用しない可能性すら伺われた。

 破壊規模で言えば、ユリアの投擲したDeringerの数倍かそれ以上だ。

 数値化出来ないほどの魔力密度を伴う七星剣は、単発のみの破壊力だけならば衛星軌道魔力収束砲「Nirvana-ニルヴァーナ-」にすら匹敵し得る。

 「―――――――やった……か……」

 クレイズはその場に膝を突いた。

 少し休憩しなければ、最早歩く力さえも残ってはいない。

 魔力切れを起こしたのは、何年ぶりだろうか。

 あの時は―――――――――

 ―――――――――グラァ…………

 大腕が振り上げられ、砂埃が晴れた。

 そこには、左腕とその周辺を失い、全身の骨と胸骨の宝石がひび割れた骸骨公が直立していた……。

 七星剣が撃ち出された直後、骸骨公は周囲の霊体を全て消費し、壁を建造していた。

 それだけならば、完全状態の霊体障壁さえ消し飛ばし得る七星剣を防ぎ切れる筈がない。

 本当ならば、そこで敗北は決している筈だった。

 だが、壁が崩れた後、氷像にされなかった10体の内2体の人骨兵が七星剣の前へ飛び込んだ。

 加えてその隙を突き、骸骨公は鎖に突き刺された氷像までもを強引に引き寄せ、己の楯とした。

 鎖の先端に貫かれていたのは8体の人骨兵。

 それが七星剣により破壊されたのならば、大量の高密度を兼ねた霊体がその残骸から吹き出すのは道理。

 計10体の人骨兵の損壊により霊体障壁を再び回復させた骸骨公は更に霊体障壁を凝縮させ、骨の体表面に厚い膜を貼り付け、それでも防ぎ切れないならば自身の骨を砕き、内部から噴出した霊体さえもを利用した。

 ここで目の前の敵を殺し、その霊体を吸収できたならば、再びこの場に補填される霊体も兼ねて自身は生き残れるだろう。

 それほどまでに、骸骨公の生存本能は驚異的なものだった。

 死して尚、未だ生への執着を捨てていない。否、死んでいるからこそ、生への渇望は一層高まっている。

 現在、クレイズは全ての力を使い尽くした直後であり、動くことはままならない。

 ゆっくりと一歩ずつ、骸骨公は歩行し、クレイズを鋭点の在る右手で突き刺せる距離まで残り1メートルのところまで迫っていた。

 「あ……あ…………」

 底知れぬ恐怖がクレイズの全身を包んだ――――――

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