こんにちは、クロンです!
心に残った本を紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日紹介する書籍は、「万能鑑定士Qの事件簿 著者:松岡 圭祐 」
【本の紹介】
この本を一言で表現するなら、「スタイリッシュで、人の死なないミステリー」です。
平成の日本社会を加味した世界観に、特徴的なキャラや巻き起こる事件を上手く落とし込んでおり、まるで現実にその人物がいたり、事件が発生しているような気にさせてくれます。
個人的には「日常を模した非日常」と表現するのが一番しっくり来ました。
さらに日常生活や工芸品についての豆知識などもふんだんに織り込まれており、読み進めていくと同時に使える知識も増えていきます。
まさしく、楽しく学べる教本としても優秀です(卵の黄身と白身を分ける方法や野菜の鮮度の見分け方などの日常的な便利知識も、簡潔に説明されていたりします)。
しかし、この本の魅力として声を大にして伝えたいのは。
「読みやすい文章と、丁寧に構成された起承転結」
これだけでも、読む価値はあります。特に起承転結の転に差しかかってからの流れるようなストーリー展開と事件が解決に向かってゆくカタルシスは中毒性があり、一冊読み終えても、また次の巻を手に取りたくなる気にさせます。
やはり長編小説ということもあり、読めば読むほどストーリーに深みが増し、キャラ同士の関係性の変化も見どころです。
毎回登場するキャラの数は少なめなので、一人一人覚えやすく、少しずつ掘り下げられていき愛着が湧いていくことでしょう。
幾重にも絡まったシンプルが複雑さをみせてはいるものの、解いてみると単純なことが連なっていただけというどんでん返しが幾つものあなたを待っています。
以下、本書の流用部分です。
東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凜田莉子、23歳──瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える! 書き下ろしシリーズ第1弾!!
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平成27年度 金沢工業大学の入試問題にも使用された大ヒット作!
【この本との出会い】
推理小説にハマっていたときに、ブックオフに行って手に取ったのがきっかけです。
当時は「〇〇館の殺人」など、重苦しいものばかり読んでいましたが、ふと店のノベル棚に足を踏み入れたところ、この本に出会いました。
まず、タイトルが鑑定士で、表紙には目を引く美しいヒロイン。
ライトノベルのような柔らかなイラストと厚みで、とても読みやすそうであったため、気分転換にライトな推理小説を読んでみようと思って購入しました。
読んでみると、世界観は明るくて読みやすいのですが、物語に重厚感があり、かなりの本格派はミステリー作品でした。
「この本は、絶対に自分では書けない」
そんな思いに頭を殴られたような感覚でした。
幅広い知識と、それを組み合わせて問題を作る機転。それとキャラ達のストーリーを練り上げる想像力。
小説を書くための全てのパラメータが高くなければ、このような作品は生み出せないと思いました。
このようにして、1巻を読んでからはまってしまい、今では松岡先生のファンになっています!
【まとめ】
おすすめ度:☆★★★★
おすすめする人:これから小説家になりたいと思っている人、ガチガチなミステリー小説から気分転換したい人
上でも取り上げたとおり、順を追って練り上げるシンプルな文体はお手本のようであり、読者に「本とはこう書くもの」と教えてくれるような温かみのあるチューターが傍にいるような気にさせてくれます。
この本を一読しただけで得られるものはとても多いのではないでしょうか。
シンプル X 丁寧 X 重厚
今まで本格ミステリーを読んでいた人にも、気分を変えるうえでとてもおすすめの内容になっています。
気になった方は、ぜひ手に取ってみてください!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!